岩井俊二「リリィ・シュシュのすべて」

リリイ・シュシュのすべて (角川文庫)

リリイ・シュシュのすべて (角川文庫)

岩井さんは好きだけども、やっぱ文庫で横書きって違和感が、というのと、映画があまりにもきつかったので凹みたくない、というのがあって積んでました。ようやく読んだ。正直、すべてがBBSの書き込み形式というのも、要所で挿まれてくる歌詞もちょっとうんざり感があった。エーテルエーテル言ってる奴らも気持ち悪いし。まあそれは狙い通りなんだろうけど。後半ああなっちゃったらこういう形式にも意味がない気がする。前半あんなだったので、スワロウテイルみたいに映画と小説でだいぶ話を変えてくるのかと思ったけど、そうなっちゃうのかー、みたいな。あとやっぱり、映像の方が格段にインパクトがあるなあ。ある人物は小説の方がより酷いことになってるけど、映画であの頭がフレームインしてきた時の衝撃の方がより強く感じる。うーん、もう1回ちゃんと映画を観なきゃかなあ、という気がしてきたのだけど、やっぱあれ凹むし、沖縄のシーンで手ブレがひどくて酔うんだよねえ…。映画館で吐きそうになった。あと手ブレ系と言えば「ダンサー・イン・ザ・ダーク」とか「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」とか。勘弁してほしい。

三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

何でも屋を営む多田と、そこに転がり込んだ元同級生の行天。持ち込まれる依頼をこなすうちにそれぞれの過去と向き合うことになり…。読みながら「犬はどこだ?」をひたすら想起してた。あとはIWGPとか。そういう意味では「またこのパターンかー」という感じはした。子供の話とかはかなりきたし、面白いのは面白いんだけど、うーん、なんだろうなあ、主人公二人がそれほど好きになれないというか。まほろを舞台にした外伝的な話が続いてるみたいだけど、確かにそっちの方が興味がわくな。

小川一水「天涯の砦」

天涯の砦 (ハヤカワ文庫JA)

天涯の砦 (ハヤカワ文庫JA)

「フリーランチの時代」がそこそこ面白かったので。宇宙ステーションがぶっ壊れて一部が漂流し始めちゃったのだけど頑張って生き残りましょう、な人間ドラマ。SFではあるけど突き抜けた設定や技術が出てくるわけではなくて、あくまでドラマが主眼だね。面白くはあるけど、ページ数の割には人物の掘り下げに物足りなさが残るかな・・・。

せきしろ「去年、ルノアールで」

去年ルノアールで 完全版 (マガジンハウス文庫 せ 1-1)

去年ルノアールで 完全版 (マガジンハウス文庫 せ 1-1)

Novelと言うかエッセイ? ルノアールに通う著者が客や店員の姿からただただあらぬ妄想を垂れ流す。うーん、最初のうちは面白かったけど、結局パターンなので中盤以降はディテイルでしか楽しめなかったなあ。
ほんでこれ、雑誌「relax」に連載されてたんですけども、この雑誌、創刊当初の緩さがものすごく波長が合って大好きで、友人に「マガジンハウスに入ってrelax編集部に行けば?」と言われるほどだった。1回目の休刊->復活あたりでずれてきて、以降読まなくなっちゃったけど。とか言うわりにこの連載は全然読んでなかったけど。

森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

天然気味な後輩ちゃんと半分ストーカーな先輩が巻き込まれるすったもんだの連作短編。勝手にちょっとした日常ミステリかと思ってたけど、ファンタジーだった。それは別にいい。ファンタジーはあんまり得意じゃないけど、匙加減がちょうど良くて楽しく読めたし、後輩ちゃんも可愛い*1。でも先輩がなー。全然好きになれない。最後の最後はちょっとかっこ良かったけど。それ以外の人たちはみんなそれぞれ好きなのに、主役の片割れだけがむかつく。うーんそこだけ残念。あ、あとせっかくきれいな恋愛ファンタジーなのに*2、胸触らせちゃうのはどうかなあ。なんかすげーいやな気分になるよアレ。でも面白かった。この著者は初だけど、他のも読んでみようかなー。

*1:物語として読む分には、ね。

*2:片方ストーカーだけど。

フランソワーズ・サガン「悲しみよこんにちは」

悲しみよ こんにちは (新潮文庫)

悲しみよ こんにちは (新潮文庫)

新年1冊目が海外文学の再読という超レアケース。と言っても初めて読んだのはたぶん10年以上前、父親の蔵書にあった旧訳版。基本的に洋物は苦手なのだけど、この作品は結構面白かったので再読の機会を狙っていたところで新訳版が出てるのを見つけて新たに購入。ごく大まかなストーリーは覚えていたけど、今回もわりと楽しめた。当時は勢いに乗って「ブラームスはお好き」に手を出して放り投げたのだけど、新訳でどんどん出してくれたらがんばって挑戦してみたいなあ。