番外編 鈴木茂「微熱少年」

俄か雨降る午後に 体温計を挟み
天井の木目ゆらゆらと揺れて溶けだした
窓のガラスを叩く野球帽子の少年の
ビー玉を石で砕いては 空に撒き散らす
ほらね 嘘じゃないだろう
路面電車は浮かんでゆくよ 銀河へと


遠い電車の響き 路地から路地に伝染り
目覚めれば誰もいない部屋 夜が忍び寄る
ほらね 嘘じゃないだろう
路面電車が浮かんでゆくよ 銀河へと