飯岡紀行

 岩井俊二の名を世(と言うか僕)に知らしめた作品、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」。2001年夏、そのロケ地となった飯岡へ、もちろん祭りの日(7/28、残念ながら8/1ではなかった)に行ってまいりました。


 実は前日から風邪を引いたのか38度を超える熱が出ていたけれど、なんとか当日の昼前には回復。本当は始発で出発する勢いだったけど仕方なく昼から。


 準備をしながらとりあえず1回鑑賞。部屋を出た時に突然気が向いて大学時代の友人を誘う。3秒迷って快諾。バカだから(いいことだ)誘うと大抵のことにはのってくる。飯岡までの2時間以上の道のり、あることないこと話したり話さなかったり。


 ロケ地めぐりのための地図はあらかじめその手のHPで取得済み(どこかは忘れた)。それによる鑑賞ポイントは以下の通り(順不同)。

  1. 安曇医院(祐介自宅)とその向かいの伊藤洋服店(普通は覚えてないよなあ)
  2. 飯岡駅(改築されてるけど)
  3. 「これ歩くの〜?遠すぎるよ〜」のあぜ道
  4. プールのある小学校
  5. 祭会場
  6. 「あーあ、開いちゃった」のバス停
  7. なずなが連れ去られ、祐介が殴られた道
  8. 嶋田釣具店
  9. 玉崎神社(蛭子さんがおでんを食べていた)
  10. 登校シーンで走る典道たちの後ろに広がる風景
  11. 飯岡灯台
  12. 「バナナ欲しい人〜」の道
  13. 校舎シーンの小学校
  14. 「五時グラウンドな」と別れる花火大会の張り紙のある掲示


 そしてしっかりした地図もネットからプリントアウト。ぬかりはありません。しかし安曇医院は隣りの駅にあり、しかも一部改築されているとのことなので今回(今回?)は最初から捨てました。


そして3時ほぼ丁度に飯岡に到着。
 ホームに下りた時点で「あ!あの景色だ!」と感動。駅は改築され、なずなが着替えたトイレのついたてはもう無いものの、ホームはそのままの姿。そして早くもそれらしい集団が何組かいて写真を撮っている。怖いので数枚写真を撮ってそそくさとその場を立ち去り、駅は見る影も無いと知っていたので振り返りもせず最初のポイントに直行。


3.「これ歩くの〜?遠すぎるよ〜」のあぜ道。
 実はあの道は灯台とは町の反対側にある。しかも国道からすぐ。作中ではかなり高い位置から撮っているため気付きにくいけれど、片側に割と近い距離で並ぶ電柱はまさしくそれ。そこでなずなの名を叫んだかは秘密。


 歩く。とても歩く。


つぎは4.プールのある小学校。
 ここは大きな道から少し入ったところにあるため上手く見つかるか心配したものの運良く即発見。最近イヤな事件が多発しているため、追い出されやしないかとビクビクしながら校庭に潜入。プールを発見し柵越しに覗くもいまいち実感がわかず。しかしなずながくぐった(1,2秒のシーン)プールにつながる門があるはずと探すと発見、確かにここだ!それにしても、ここに限らず小学校のプールってこんなに小さいものなのか?とは言えだんだん記憶とかみ合ってくる。典道、祐介が立った飛び込み台、なずなが寝転がっていた反対のふち、夜忍び込んだときになずなが蹴った水面。しかしさすがに中に入る度胸は無く、柵の上から写真を撮って引き上げた。そのときは・・・。


 またさらに歩く。とても歩く。


6.「あーあ、開いちゃった」のバス停
7.なずなが連れ去られ、祐介が殴られた道
 そのバス停は「新畑」という。作中でも確認できるかもしれない。「おー、ここここ、この石垣」写真を撮りながらゆっくりと通り過ぎる。その少し先の角を曲がれば7.の道。ああ、母親はこっち。純一たちはこっちから出てきた。うむうむ、なずなはここを引きずられていったのだねえ・・・。いまいちピンと来ないのは脇の木の壁だか塀だかが無いからなのかもしれない。




8.嶋田釣具店
9.玉崎神社
 この二ヶ所はすぐ隣りで、先ほどのバス停からも5分と歩かない。典道は登校時駆けてきた純一たちと合流して道の真ん中を走り出すが、あの道はけっこう車の通りが激しい。釣具店を撮影しようとしたが人の家をただ撮るのもやたらに気が引けるし車は通るし近所の人はうろうろするし店のおじいさんは出たり入ったりするしで埒があかないので店のドアも開いていたことだし「家のまわりを撮らせてもらっていいですか?」と声をかける。おじさん、おばさん快諾。2,3枚撮った時点でおじさんが出てきて「写真あるよ」と中に招き入れる。もうちょっとゆっくり撮りたいんですけど・・・。中に入ると、撮影時の写真や出演者、スタッフからの色紙、台本などを見せてくれた。生(写真)オキナ・・・。絶対小学生じゃない。玉崎神社はすぐ隣りで、作中で感じるほどには広くなかった。屋台を数台置いたらいっぱいといった感じ。でもなかなか由緒ある神社らしい。




 ここから祭りの会場はすぐそこなのだけれど、やはり灯台は行っておきたい。時間的にも、体力的にもかなり厳しかったけれどそこは根性で強行。坂道を、歩いた。


10.登校シーンで典道たちが走る道
11.飯岡灯台
 11.へ向かう途中に10.がある。この小高い丘というか崖の上から眺める景色は、映画の件抜きでも十分美しい。良かった。飯岡灯台は、小さかった。5メートルあるか?というくらい。4人が立ちションしていた場所も地上から手が届くのでは。しかもすぐとなりに「光と風なんとか展望台」みたいなのができていて、(割と新しい、撮影後か?)そちらの方がよほど見晴らしがよさそうだ。




 この時点で時間的・体力的にほかのロケ地めぐりは断念、来た道を戻り、海岸に出て花火を待つ。


 この花火大会自体はそれほどメジャーでないのか、打ち上げ地点のそばでも割と楽に座れるところを見つけられそうだった。ここでいやなアナウンス。「花火打ち上げは8時からです」今日中に松戸に帰るためには9時11分の電車に乗らなくちゃならない。海岸から駅までは相当歩く。とりあえず何か口に入れようと屋台に向かうも、ものすごい行列。もう何十人、ダラーっと。それもそのはず、一種一店しかない。要は全部で五店ぐらい。花火がメインだとこうなるものなのかね?無論並ぶ気力もなく、浜辺でボー。呼び込み用の軽めの花火を眺め、黙り込む。


 ここで僕、英断をくだす。
「花火2,3発見て帰っても仕方ない。夜のプールに忍び込もう!」


 ストーリーのことを考えると、すでに泳いでるやつでもいるかと思ったものの、着いてみれば誰もおらず。今度は大胆に柵を乗り越え中に浸入。泥棒気分を堪能、写真をパシャパシャ撮っていると、打ち上げ音、炸裂音とともに花火が見える!多少距離があるので小さいし、木に隠れる部分もあるものの普通に見える。いやー、これはこれでいいんでないですか?プールから見る花火。すばらしい。





 しかしそれにしても、駅は遠い。そもそも飯岡駅といいながら、実は飯岡町ではないのだ。隣りの海上町というところにある。3.「これ歩くの〜?遠すぎるよ〜」のあぜ道も(また別の)隣町だし、13.校舎シーンの小学校と14.「五時グラウンドな」と別れる花火大会の張り紙のある掲示板も逆の隣町なのだ。なんとファン泣かせなロケ地なことだろう。それにしても遠い。途中寄ったコンビニ(のような店)でなぜか笹かまが目に付き、食べ歩き。そして時間がかなりギリギリなことに気付く。何年かぶりで全力疾走。むしろ筋肉がハイになって歩いているよりは楽になる。が、心肺機能は追いつかず即ダウン。何とか時間前に駅に到着。


 また2時間以上電車に揺られて松戸に到着。当然もう一度鑑賞。それから熱めのお風呂につかってこれの原型となる文章を書いたのでした。