JOJO第2部でのシュトロハイムの采配。実験のため人の血がいる。ナチスドイツの少佐であるシュトロハイムは捕虜の中から生贄を選ぼうとするが・・・。

「よし……ひとつ提案しよう。処刑してもらうものをひとりおまえら自身で選べ。実験のため我われはひとりの血液が欲しい。誰を処刑するかおまえらでひとり選んで決めろッ!そうすれば残りの者は全員今日で開放しよう!」
「お………おれを処刑しろッ。おれひとり死ねばあとの人たちは全員助けるんだな!」
「よし!小僧!人種はちがえどわたしはおまえのような勇気ある者に敬意を表す!すぐれた人間のみ生き残ればよい!こいつ以外の全員を処刑しろ!」

 これはある面から見れば*1納得がいくし、ある種の美談であるかもしれない。しかし、自分を犠牲にしてまで他の人々を救おうとした、勇気ある、心のまっすぐな少年が、「自分の発言のせいで他の人々全員を殺してしまった」、「自分が名乗りをあげなければ、少なくとも別の誰かひとりだけは助かっていたかもしれない」という罪悪感と共に生きていくことは非常に辛いことなのではと思う。結局この出来事によって救われた者は誰一人いないのだ。

*1:人が人を処刑する、などという点を除けば